=免疫力との出会い①=
歯科衛生士になって数年経った頃です。
30年くらい前のこと。
歯科関係の学会で、ひとつの症例発表を聞きました。
HIV感染によるエイズ(AIDS)で入院している若い方に関する内容でした。
エイズ(AIDS)とは、後天性免疫不全症候群のこと。
感染力が強く、その当時は不治の病でした。
エイズの人の口が見られるのは貴重なことで、不謹慎ながらワクワクしたことを覚えています。
まず、入院直後の歯の写真が映し出されました。
歯肉が全体的に真っ赤に腫れて、重度の歯肉炎でした。
私の頭の中では瞬時に、この症例に自分だったらどう対応するかと考えていました。
−血液感染するこの病気、歯ブラシ当てたら出血するし、でもプラーク(歯垢)は取らなくちゃ。
−歯並びきれいから、きっと素敵な口元になるはず。
−歯肉炎くらいだったら早く治してあげたい
−この衛生士さん、どうしたんだろう?
と、改善していく過程を見せてもらえるものと思って、次の写真を待っていました。
次の写真は、入院2週間後。
赤く腫れていた炎症がなくなってピンク色の歯肉でした。
それは、これまでによく見ていた炎症のない良好な歯肉の条件を満たしているようでした。
−あっ、治ってる、きれい、すごい。何したの?
−エイズの重度の歯肉炎を治せるって、この歯科衛生士さんはどんな技があるの?
そう思いました。
その歯科衛生士さんは言いました。
「この写真を撮った2日後に亡くなりました」
−ん?
−後天性免疫不全症候群・・・・・そういうことなんだ
その歯科衛生士さんは、”自分は何もできないままこの患者さんは亡くなった”ことを発表されたのです。
今でも、覚えています。
免疫が不全になったから、完全に不全になったから、
命と一緒に歯肉の炎症も消えたという事実に気づいた衝撃を。
きれいにしてあげよう、という歯科衛生士魂が消えていった感覚を。
そして、その歯科衛生士さんへ、ありがとうございます。
この発表の後、しばらく椅子に沈みこんでしまいました。
−腫れたり赤くなったり出血したり痛くなったりするのが炎症。
−歯垢に含まれる細菌やウイルスを察知すると、体への侵入を防止するために免疫担当の白血球が増産される
−歯肉の腫れは免疫力があるから起きること
そんなことをグルグル考えて、ハッとしました。
「歯肉は腫れてくれるんだ!」「体に起きた異常を、腫れて、教えてくれるんだ」
「全ての免疫力がなくなったら、腫れることもできないんだ!」
そんな教科書で習ったことを、ガツンと頭を殴られたようにして理解しました。
このエイズの方は21歳でした。
あれから30年。
エイズは、多くの人の命を消して、今は良い薬があると聞きます。
どんな時に免疫力を感じますか?
免疫力とは、ヒトが何万年もかけて備わった力です。
自分は、切り傷ができたら何日くらいでどんなふうに治っていくのか。
風邪はどんなふうにひき始めるのか。
体調を崩したら、何を食べれば早く回復するのか。
そんな、自分の免疫力と相談しながら生活することが、自然なのかなと思っています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、生活が変わりました。
身体は、新しいペースに慣れていません。
どことなく体が重く感じるのは、免疫が働いてくれているからです。
免疫に上手に働いてもらえるように、消化に負担の少ない食べ物を選んでください。
体に力が入って筋肉が縮んでいます。
大きく伸びをしながら、上半身全体にいっぱいに息を吸い込みましょう。
ストーンと力を抜くように息を吐いて。3回繰り返します。
天気の良い日は、空を見ながら、風を感じながら。
細胞に新鮮な酸素が巡れば、免疫は気持ちよく働いてくれるでしょう。
免疫力を味方にして、自分の体をいたわって、どうか安全にお過ごしください。
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今回も、長文を最後まで読んでくださってありがとうございます。
来月は、免疫力との出会い②をお届けします(予定)。
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